勤怠管理システムの費用相場は? 初期費用やランニングコストなど解説
勤怠管理システムとは、従業員の勤怠状況を管理するためのシステムです。勤怠管理システムの導入を検討する際、気になるのが費用ではないでしょうか。
勤怠管理システムの費用は、システムの種類や機能によって異なります。
本記事では、勤怠管理システムの種類ごとの費用相場や初期費用、ランニングコストなどを詳しく解説します。システム導入の予算計画を立てるための参考にしてください。
勤怠管理システムについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
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勤怠管理システムとは? 主な機能から企業に導入するメリットまで徹底解説勤怠管理システムの種類と費用相場
勤怠管理システムには主にクラウド型、パッケージ型(オンプレミス)、スクラッチ開発の3種類があり、それぞれ費用構造が異なります。
企業規模や業務形態によって最適なシステムは異なるため、自社に合ったタイプを選択することが重要です。
ここでは、それぞれのシステムの特徴と費用相場を見ていきましょう。
クラウド型勤怠管理システムの費用
クラウド型勤怠管理システムは、初期費用が低く、導入しやすいのが特徴です。月額利用料は従業員1人あたり200円〜500円程度と比較的リーズナブルです。
初期費用は0円〜20万円程度で、サーバー構築や保守が不要なため、中小企業でも導入しやすい選択肢となっています。
クラウド型のメリットは、必要最小限の機能から始め、徐々に拡張していくことが可能な点です。また、システムの更新やセキュリティ対策はサービス提供者が行うため、運用の手間も少なくて済みます。
パッケージ型(オンプレミス)勤怠管理システムの費用
パッケージ型勤怠管理システムは、初期費用が30万円〜150万円程度と高めですが、長期利用ではコスト効率が良くなる可能性があります。
自社サーバーで運用するため、セキュリティ面で優れており、大規模な従業員管理に適しています。
パッケージ型のメリットは、自社の要望に合わせたカスタマイズが可能な点です。特殊な勤務形態や複雑な給与計算ルールにも対応できます。
ただし、カスタマイズには追加費用がかかることがあるため、導入前に十分な検討をしましょう。
スクラッチ開発の勤怠管理システムの費用
スクラッチ開発の勤怠管理システムは、完全に0から自社のシステムを開発する方法です。カスタマイズが可能ですが、開発費用は数百万円から数千万円と高額になります。
独自の勤怠ルールや特殊な勤務形態がある企業に適しており、他のシステムとの連携も柔軟に行うことができます。
スクラッチ開発のメリットは、自社の業務フローに100%マッチしたシステムを構築できる点です。しかし、開発期間が長くなることや、運用・保守に専門知識が必要となることがデメリットとして挙げられるでしょう。
勤怠管理システムの初期費用の内訳
勤怠管理システムの導入には、主に以下のような初期費用がかかります。
- ライセンス費用
- 導入・設定費用
- カスタマイズ費用
これらの費用は、システムの種類や規模によって大きく異なるため、導入前に詳細な見積もりを取ることが重要です。
それぞれの費用項目について、詳しく見ていきましょう。
ライセンス費用
ライセンス費用は、システムの使用権に対する費用です。
通常、ユーザー数や利用する機能の範囲によって段階的な値段に設定されており、大量導入時には割引が適用されることもあります。
例えば、50人規模の企業では1ユーザーあたり月額500円、100人規模では400円、500人以上の大規模企業では300円というように、導入規模が大きくなるほど単価が下がる傾向にあります。
導入・設定費用
導入・設定費用には、システムのインストールや初期設定、従業員への教育費用が含まれます。
クラウド型では比較的低コストですが、パッケージ型では専門技術者による設定作業が必要となり、高額になる場合があります。
そのため、設定作業は必要か、設定作業込みでいくらになるのかを導入前に確認しておくと安心でしょう。
導入・設定費用の目安は、クラウド型で10万円〜30万円程度、パッケージ型で50万円〜100万円程度です。
ただし、企業規模や導入するシステムの複雑さによって大きく変動するため、事前に複数のベンダーから見積もりを取ることをおすすめします。
カスタマイズ費用
カスタマイズ費用は、自社の勤怠ルールに合わせた機能追加や変更にかかる費用です。基本機能では対応できない特殊な勤務形態や、他システムとの連携が必要な場合に発生します。
工数に応じて数十万円から数百万円かかることもあるため、予算を十分に考慮したうえで導入を検討しましょう。
カスタマイズの例としては、複雑なシフト管理機能の追加、独自の残業計算ルールの実装、既存の人事システムとのデータ連携などが挙げられます。
カスタマイズ費用を抑えるためには、できるだけ標準機能で対応できるよう、業務フローの見直しを検討することも一案です。
勤怠管理システムのランニングコスト
勤怠管理システムを導入した後も、継続的にかかる費用があります。
主なランニングコストとして、月額利用料、保守・サポート費用、アップデート・バージョンアップ費用などがあります。
適切な予算計画を立てるために、これらの費用を事前に把握しておきましょう。
月額利用料の相場
クラウド型勤怠管理システムの月額利用料は、従業員1人あたり月額200円〜500円が一般的です。
利用する機能や従業員数によって変動し、大企業向けの高機能なシステムでは1人あたり1,000円を超えることもあります。
例えば、50人規模の企業で基本的な勤怠管理機能を利用する場合、月額1万円〜2万5千円程度の費用がかかります。
一方、1,000人規模の大企業で高度な分析機能やシフト管理機能を利用する場合、月額100万円以上の費用となることもあるのです。
保守・サポート費用
保守・サポート費用は、システムの安定稼働やトラブル対応のための費用です。月額料金に含まれる場合もあります。
パッケージ型では年間契約で基本料金の15%〜20%程度、クラウド型では月額料金に含まれていることが多いです。
保守・サポートの内容としては、システムの監視、バグ修正、ヘルプデスク対応などが含まれます。24時間365日の対応が必要な場合は、追加費用がかかることがあるため、自社の運用体制に合わせて適切なサポートプランを選択しましょう。
アップデート・バージョンアップ費用
アップデート・バージョンアップ費用は、法改正対応や新機能追加時に発生しますが、クラウド型では基本的に無料です。
パッケージ型では大規模なバージョンアップ時に別途費用が発生し、数十万円から数百万円かかることもあります。
クラウド型の場合、自動でアップデートがされるため、常に最新バージョンを利用することができます。社内で法改正に対応する必要がなく、法改正があった場合のシステムの適応もスムーズです。
一方、パッケージ型では大型アップデートのたびに費用が発生するため、長期的なコスト計画を立てる際は注意してください。
勤怠管理システムの費用に影響する要因
勤怠管理システムの費用は、主に以下の要因によって変動します。
- 従業員数
- 追加機能の数
- 契約期間
それぞれの要因について、詳しく見ていきましょう。
従業員数
勤怠管理システムの価格は、多くの場合、従業員数が増えるほど1人あたりの単価が下がる傾向にあります。
例えば、50人未満では1人500円/月、100人以上で400円/月、500人以上で300円/月というように段階的に単価が下がるケースが多いです。
ただし、従業員数が増えると全体の費用は上がるため、予算管理には注意してください。また、将来の従業員数の変動も考慮に入れ、柔軟に対応できるプランを選択しましょう。
大企業・中小企業それぞれの勤怠管理システムについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
追加機能の数
勤怠管理システムの価格は、基本機能のみか高度な分析機能付きかで大きく変わります。
シフト管理、有給休暇管理、勤怠データの可視化ツールなどの追加機能により、月額料金が1.5倍から2倍程度に跳ね上がることもあるので、予算オーバーにならないよう注意してください。
例えば、基本的な勤怠管理機能のみのプランが1人あたり月額300円だとすると、シフト管理機能を追加することで400円に、さらに高度な分析機能を追加すると600円になるといった具合に価格が変動します。
コストを抑えるためにも、必要な機能を見極め、過剰な機能は避けましょう。
契約期間
勤怠管理システムの月額料金は、長期契約ほど割引される傾向があります。1年契約で5%、2年契約で10%、3年契約で15%といった具合に、契約期間が長いほど割引率が高くなるケースが多いです。
長期契約のメリットは、費用の削減だけでなく、安定したシステム運用が可能になる点です。
ただし、契約期間中はシステムの変更が難しくなるため、自社の成長計画や業務変更の可能性も考慮して契約期間を決めなければなりません。
勤怠管理システムの費用を抑えるためのポイント
勤怠管理システムの導入は、業務効率化や労務管理の適正化につながる重要な投資です。しかし、費用対効果を最大化するためには、適切なコスト管理が欠かせません。
ここでは、勤怠管理システムの費用を抑えるための具体的なポイントである、以下の3点について見ていきましょう。
- 必要最小限の機能を選択する
- 長期契約による割引を活用する
- 複数の見積もりを比較する
必要最小限の機能を選択する
自社に不要な機能を省くことで、初期費用と月額費用を抑えることが可能です。
例えば、シフト管理機能が不要な場合、その機能を外すことで月額料金を10%〜20%程度削減できる可能性があります。
ツール選択のポイントは、現在の業務フローを十分に分析し、本当に必要な機能を見極めることです。将来的に必要になりそうな機能については、後から追加できるかどうかも確認しておくとよいでしょう。
また、無料トライアル期間を活用して、各機能の使用頻度や使いやすさを実際に確認することも効果的です。
長期契約による割引を活用する
勤怠管理システムの月額料金は、1年以上の長期契約で10〜20%程度割引されることがあります。
ただし、長期契約にはシステム変更の柔軟性が失われるデメリットもあるため、慎重に検討する必要があります。長期契約を検討する際は、以下の点を考慮しましょう。
- 自社の成長計画や事業展開の予測
- 労働法制の変更など、外部環境の変化への対応力
- 契約途中解約時のペナルティの有無
長期契約による割引と、システム変更時の柔軟性のバランスを取ることが重要です。
例えば、1年契約で始め、システムの使用感や効果を確認した上で、次回更新時に長期契約に移行するというように段階を踏んで契約を結ぶことも有効です。
複数の見積もりを比較する
勤怠管理システムの選定では、少なくとも3社以上の見積もりを比較し、最適な価格と機能のバランスを探りましょう。
各社の見積もりを比較する際は、初期費用、月額費用、保守費用、追加オプション費用などを総合的に評価し、3年〜5年の長期的な視点で判断することが望ましいです。
見積もり比較のポイントは以下の通りです。
- 初期費用と月額費用のバランス
- 必要機能の網羅性
- サポート体制の充実度
- 将来的な拡張性
また、同業他社の導入事例や口コミ情報も参考にすると、より実態に即した判断ができます。
ベンダー選定の際は、単に価格だけを比較するのではなく、導入実績やサポート体制なども含めて総合的に評価しましょう。
適切な予算計画で効果的な勤怠管理システムを導入しよう
勤怠管理システムの導入には、初期費用とランニングコストを総合的に考慮し、長期的な費用対効果を見極めることが重要です。
クラウド型、パッケージ型、スクラッチ開発など、システムの種類や自社の規模、業種に応じて適切なシステムを選択しましょう。
必要最小限の機能選択、長期契約の活用、複数の見積もり比較などで費用を抑えつつ、拡張性や法改正への対応力も考慮に入れることが大切です。
適切な予算計画と慎重な選定プロセスを経ることで、効果的な勤怠管理システムの導入を実現しましょう。