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自分で作ったからお伝えしたい合同会社設立2

著者: 中小企業診断士  山本 哲也

自分で作ったからお伝えしたい合同会社設立2

自分で作って運営しているからこそお勧めしたい法人組織が、合同会社です。前回のコラムをお読みいただき、合同会社に関心を持たれた方は、今回のコラムを片手に合同会社設立に向けて準備を進めてください。

前回もお伝えした通り、合同会社の課題の一つが知名度の向上です。

1社でも多く合同会社が設立されることは、先輩方を助けることにもつながります。といっても、毎年3万社程度が生まれていますので、年間240日とすると1日125社以上の合同会社が生まれている計算です。

そう考えると、早晩、知名度に関する心配はなくなると考えてもよさそうです。


1.まずは計画をたてましょう。

冒頭に、年間240日、1日あたり125社以上が生まれ、毎年3万社もの合同会社が生まれていることをお伝えしましたが、実は休日に会社を設立することができないため、このような計算になるのです。

会社設立とは、会社の存在を明らかにするために法務局に申請する手続きですから、登記書類を法務局に受け取ってもらった日が会社設立日となります。つまり、法務局がお休みの日には、会社設立をすることができないのです。

現在は、法務局の業務取扱時間(平日午前8時30分~午後5時15分)でなくとも完全にオンラインで申請することが可能になっていますが、オンラインサービスの利用時間は平日午前8時30分から午後9時までとなっていますので、やはり登記申請を土日や祝祭日にすることはできない仕組みになっています。

(1) いつ作るか?

会社設立日は会社の誕生日ですので、存続する限り変更することができません。どうしても思い入れのある日を設立日としたい場合は、その日が平日になる年まで1~2年待つしかありません。

私の場合、自分の誕生日と同じ日に設立したいと考えましたが、私の誕生日は国民の祝日にあたっており、よほどのことがなければその日を設立日とすることができず、自分の誕生日を会社設立日にすることは諦めました。

では、会社を設立するのはいつがよいのでしょうか?

これについてはいろいろな考え方がありますが、多くの方が参考にするのが、六曜や十二支ではないでしょうか?六曜における縁起のよい日は「大安」です。これはとても有名ですね。また、十二支では「寅の日」が会社設立にはよい日だそうです。虎は千里行って千里戻るということから、旅立ちにはよい日なのだとか。他にも、11月11日や12月12日といったゾロ目の日や、提供するサービスにちなんだ語呂合わせの日にする場合もあるようです。

(2) なにを準備すればよいのか?

合同会社設立の準備物は、以下の通りです。

1 合同会社設立登記申請書
2 定款2部(会社保存用と法務局提出用)
3 代表社員の印鑑証明書
4 払込証明書
5 印鑑届書
6 代表社員就任承諾書(場合によって必要)
7 本店所在地及び資本金決定書(場合によって必要)

1 合同会社設立登記申請書

法務局のWEBサイトからダウンロードが可能です。記入例についても準備されていますので、とても簡単に作成することが可能です。

2 定款2部(会社保存用と法務局提出用)

合同会社においては株式会社と違い、定款の公証人による認証は不要です。法務局のWEBサイトにあるサンプルを参考にして自分で作成するか、お近くの士業専門家に相談する方法があります。

私も定款を作成するまで気にしていませんでしたが、公証人によるチェックがないということは、間違った登記もできてしまうということです。なんだか面白いですね。しかし将来、なにかトラブルがあった場合に困るのは自分自身なので、やはり専門家に相談しながら進めることをお勧めします。行政書士や司法書士、中小企業診断士などが代表的なところです。

一般的に定款に記載する項目は以下のとおりです。法務局のWEBサイトにサンプルも用意されていますので参考にされるとよいでしょう。

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法務局WEBサイトより

また、電子定款という仕組みを利用すると4万円の印紙税を節約することができます。ご自身でICカードリーダー(5,000円以下)などを準備してトライしてもよいですし、私の場合はネット上で電子定款作成(5,000円くらい)をしてくれるサービスを利用しました。

3 代表社員の印鑑証明書

合同会社では、株式会社でいうところの代表取締役のことを「代表社員」と呼びます。おそらく、このコラムを読んでいるあなたが代表社員になるのだと思いますが、個人の印鑑証明が必要です。もしお住まいの市町村へ印鑑登録をしていないようでしたら、その手続きから行う必要がありますが、印鑑証明が済んでいてマイナンバーカードをお持ちであれば、お近くのコンビニエンスストアで24時間出力することも可能です。

4 払込証明書

払込証明書とは、会社の資本金が支払われたことを証明するための書類です。少し違和感を覚えるかもしれませんが、創業者であるあなたとこれから登記する会社は別人格ですので、会社からすると「あなたが会社に資本金を払い込んでくれた」となり、それを証明する書類が必要となるわけです。そして、まだ会社も会社の銀行口座もありませんので、あなたの個人口座に自分で振り込みを行い、その通帳のコピーやWEB通帳をプリントしたものを添付します。通帳の場合、口座名義、口座番号や銀行名がわかるように、表と裏の表紙部分と、表紙をめくったところにある口座情報が書かれたページもコピーしておきましょう。印字が薄く写りづらいので、コピー機は一番印刷が濃いところに設定を変更しておくことをお勧めします。

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法務局WEBサイトより

5 印鑑届書

印鑑届書とは、法人の印鑑を登録するための申請書です。必要事項を記入し、あなたの個人実印と新しく作った会社実印を捺印すれば出来上がりです。特に難しいところはありません。

その前に、印鑑を作る必要があります。事業用の印鑑は、その業界によっていろいろかもしれませんが、BtoBの場合であれば、①会社実印(丸印):届け出を行うことで正式な法人としての印鑑になり、これはすべての会社で必要になります。②会社用銀行口座印(丸印):銀行口座開設用です。我々のような小規模事業者(特に家族経営)では、会社実印と兼用でもよいと思います。③会社印(角印):見積書や領収書など普段の業務に頻繁に利用するものです。小売りなどではあまり使うことはないかもしれません。

印鑑は、近い将来なくなるとの話もありますが、現在は必要ですので早めに作ることをお勧めします。

私はネット通販で一番安い1万円程度の3点セットを購入しましたが、今となっては、日々使うものなので、もう少しよいものを購入しておけばよかったと少し後悔しています。なぜなら、値段の高低とは関係ないのかもしれませんが、かすれずきれいに押すのが難しいというとても基本的な問題があったからです。

なお、2021年2月15日から一定の条件を満たせば印鑑届書の提出は任意となりましたが、まだまだ会社運営上は必要になることも多いので、設立登記と同時に届け出るのがよいでしょう。

6 代表社員就任承諾書

こちらも「会社から依頼があり、代表社員に選出されたのでお受けします」という、あなた個人から会社への提出書面になります。

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7 本店所在地及び資本金決定書

とても分かりにくい手続きなのですが、定款を作成する段階では、詳細な住所を決めずに「当会社は、大阪府堺市に置く」というものでも設立は可能なのです。代表社員や資本金も同様に、あいまいな状態でも定款作成はできてしまいます。

そしてその後、詳細が決まってからこのような書面をもって確定させるという意味合いです。よほどのことがなければ私たち小規模事業者には縁のない書類です。

余談ですが、住所の表記に特段の決まりはありませんので、1丁目1番地と書いても1-1と書いてもよいようです。本当に行政手続きって理解に苦しむところがありますよね。


2.設立後にもまだまだ必要な手続きがある!?

実は、会社は設立登記手続きを行えばできてしまうのですが、それ以外にも以下のような行政手続きが必要になります。私の場合は、個人事業主時代から付き合いのある税理士さんに相談して、できる限り自分でトライしてみました。2~3日は潰れましたが、いろいろと勉強になりました。それぞれの役所に出向き簡単な書類を書くだけですので、ご自身でやってみることをお勧めします。

1 設立届出書の提出

都道府県税事務所(設立後1カ月以内)、市区町村役場(設立後1カ月以内)、税務署(設立後2カ月以内)への届けが必要です。

2 青色申告承認申請書

欠損金の繰越など税制面の優遇が大きい青色申告制度を利用するための手続きです。税務署で行います。

3 銀行口座の開設

一般的には、印鑑証明書や登記簿などが必要です。銀行によっては、他の書類の提出も求められるケースがありますので、事前に確認を行ってください。個人の口座開設のように簡単ではありませんので、登記が済んだらその足で手続きに行くことをお勧めします。業種柄やこだわりがなければ、小回りの利く地元密着型の金融機関の利用がお勧めです。

4 社会保険などの加入手続き

健康保険、介護保険、厚生年金保険は年金事務所へ、労災保険は労働基準監督署へ、雇用保険はハローワークへの届け出が必要です。

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3.まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は私の体験談を交えながら、合同会社の作り方について準備物と手順に分けてお伝えしました。行政手続きはとても苦手なのですが、それでも法務局や他のWEBサイトから情報を得て、無事会社設立することができました。これから法人を設立して代表者を務めようと考えている皆さんの中で、お金の余裕はないが好奇心旺盛で時間をなんとか作れる方は、チャレンジしてみることをお勧めします。

これから運営する会社の将来のことや、法人と個人の違いのことなどを学ぶよい機会になると思います。逆に、なんらかの理由で法人格が急いで必要な方や、法務局が遠いなど物理的な障害がある方は、専門家に依頼することをお勧めします。会社設立の作業部分に使う時間があれば、ぜひ顧客への提供価値を高めるための時間としていただきたいです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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著者プロフィール

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山本 哲也

中小企業診断士

PROFILE
ライター,コンサルタント
1966年生まれ,大阪府大阪市出身。
1998年ビルクリーニング技能士取得
2019年年中小企業診断士登録
総合サービス事業会社にてオープンイノベーションによる新規事業開発を担当。得意分野は新規事業開発、事業企画、営業チームビルディング、フランチャイズビジネス

お問い合わせ先
株式会社プロデューサー・ハウス
Web:http://producer-house.co.jp/
Mail:info@producer-house.co.jp

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